投稿日 : 2025年2月28日 最終更新日時 : 2025年03月03日
【コラム】非上場企業と敵対的買収
近年、第三者から敵対的買収を受ける企業が増えつつあるような印象があります。「敵対的」買収とは対象企業の経営陣などの意思に反して行われる買収です。上場企業は常に敵対的買収の可能性がありますが、非上場企業では敵対的買収の可能性はあるのでしょうか?敵対的買収を心配すべきなのでしょうか?
1.敵対的買収の概要
敵対的買収とは、対象企業の経営陣から同意を得ることなく企業の支配権を取得しようとする行為です。「敵対的」という言葉には非道徳的な響きがありますが、一概にそうとも言えません。現経営者にとっては経営陣を変えようと突如現れるので敵対的と言えますが、他のステークホルダー(従業員、既存株主、取引先、社会全般など)にとって敵対的な訳ではありません。
これまで敵対的買収には批判的な目もありましたが、近年変わりつつある印象です。制度側の市場改革や個人の証券投資が進み、世論に経営者目線だけではなく投資家目線が入ってきたことが理由の一つと思われます。
【国内での敵対的買収事例(不成立含む)】
■ SBIホールディングス⇒新生銀行(2021年)
■ 第一生命ホールディングス⇒ベネフィット・ワン(2023年)
■ ブラザー工業⇒ローランドDG(2024年)
■ AZ-COM丸和ホールディングス⇒C&Fロジホールディングス(2024年)
■ ニデック⇒牧野フライス製作所(2024年)
※ カッコ内は公表日
株式譲渡は原則自由のため、誰でも自由に歩ける交差点のような状態です。誰に株式が譲渡されるか、企業経営陣はコントロールできません。新たな株主が何を目的として株式を保有しているかは、その目的や過去の言動(行動は言葉よりも雄弁です)などを通して見極める必要があります。
通常、敵対的買収後には経営陣の変更や新たな経営戦略が打ち出されます。経営陣は退陣となり、従業員や取引先は変化の影響を受けることになるでしょう。通常の敵対的買収は株式買い集めに多大な費用が必要になります。既存株主は市場株価通りでは株式譲渡をしない可能性があるので、株価にプレミアムを付け買収することになります。企業価値を高めなければ投資回収できないので企業を(株価的な意味で)より良くすることに力を入れることになります。
株価が低評価されている企業は敵対的買収のターゲットになりやすく、企業にとっては適切な経営と高株価の維持が買収防衛の武器となります。
2.非上場企業の敵対的買収
前段では上場企業を念頭に敵対的買収を取り上げました。非上場企業では敵対的買収の可能性はあるのでしょうか。
非上場企業では敵対的買収は生じません。
敵対的買収という言葉に警戒感を示す非上場企業も見られますが、基本的には心配無用です。理由は以下の通りです。
● 一般的に経営者や親族の株式保有比率は高い(2/3以上や50%超)。
経営者や親族が売らなければ買収は生じません。
● 非上場企業の株式は通常譲渡制限されています。
経営者以外の株主が株式を売ろうと思っても、経営者の了解なく株式譲渡を行うことができません。
株式譲渡は原則自由ですが、非上場企業においては定款で一定の譲渡制限を設けることが認められています。
3.例外:企業の株主構成による
ただし、経営者の株式保有割合が低い場合は敵対的買収される可能性もあります。
● 経営者の株式保有比率が低い時があります(50%以下)。
経営者以外の株主が一斉に株式売却すると経営権変更が生じます。
● 非上場企業の株式譲渡制限は万能ではありません。
経営者の了解なく株式譲渡を行うことができませんが、株式譲渡制限が実質的に機能しない場合があります。
経営者の保有株式が少ないため経営権が安定していないことに起因します。敵対的買収リスクだけではなく、少数株主の金銭的理由や相続などによる株主変更リスクもあります。
4.まとめ
非上場企業でも敵対的買収はあり得るのかという質問はよく耳にしますが、非上場企業での敵対的買収のリスクは基本的にありません。敵対的買収リスクを避けることを目的の一つとして非上場化する企業もあります。
非上場企業であっても経営者の株式保有割合が低い場合は敵対的買収のリスクが残ります。株式譲渡制限は存在しますが万能ではありません。
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